感想文「完結編」(6)

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(6)ヤマトやめます


 ……大介と次郎のシーンはさらっと流したな(苦笑)。

 ちなみに、本編ではこのシーン、次郎は島のことを「兄さん」と呼んでるんですが、「Part1」「2」ではもれなく「大介兄ちゃん」「兄ちゃん」と「ちゃん付け」で呼んでます。なので、ERI的には次郎の呼び掛け方は統一して「兄ちゃん」で行こうと思っております。悪しからずご了承くださいまし。
 蛇足ですが、実写版「SBヤマト」で、緒形直人さんは「島の役作りをするのに、ヤマトの劇場版を何本か観た」とおっしゃっていました。
 無論、次郎の出番が最も多いのがこの「完結編」です。ということは、緒形直人さんはこのシーンとかあのシーンとかを参考にされたとほぼそう思っていいと。
 で、そういう目でこのシーンを見てみますと。

 あら。
 島、お父さんも板に付いてるじゃん…… (←なんかまた惚れ直してる)

 我がサイトのラノベでは娘のいる島ですが、息子もいいな(w)。


 ………ま、いいや(照れている)、先行こう先。



<ヤマトやめます>

 一方、古代は他の誰よりも重症だった、と思われますが……

 放射線障害の描写は、まったくされていませんね。古代は大量被爆した、と考えられますが、彼の症状は外部被爆でも内部被爆でもなくただのケガと疲労、という表現です。時代を考えれば、またあれが子どもアニメだということを考えれば、あの程度が限界なのかもしれませんが…。

 余談ですが:
 ベッドに伏せている古代クンが、艦内服を着ている時には想像もつかないほどマッチョだったことにERI、ちょっとおののきました(おい)。脱いだらすごい、ってヤツでしょうか… 

 ついに島のこういう姿は本編では拝めませんでしたが……パッと見、古代よりガタイがいい(身長は確実に高い)、という感じの島です。設定資料を見ても、古代とそれほど変わらない体格に描かれています……ということは、きっと期待大でしょう(←何の期待だ…)


 もとい…
 連邦中央病院、その一室で。

(古代くん……) 
 ベッドでうなされている彼に、私は…何をして上げることが出来るの…?
 長官秘書の仕事を休み、雪が古代に付き添って数日。事態は逼迫し、回復したクルーたちは急ぎ次の航海へと身体を整えていますが……

(でも……あなたは)
 
 一体、何があったの、古代くん。
 あなたを苦しめているのは、クルーたちの犠牲?
 それとも、得体の知れない新しい敵……?

「……!」
 その瞳がうっすらと開かれたのを見て、雪はどれほど嬉しかったことでしょう。「古代くん…、…ああ、良かった……!」
「ゆき…」
 ようやく正気付いた古代の目に入ったのは、見慣れない病室の天井と…自分を見下ろして微笑む……否、今にも泣きそうな雪の顔。
「ここは…どこだ」
「地球よ。…防衛軍中央病院」

 なんでこんなところに、おれは寝ている……?!

 しゃにむに起き上がろうとした古代を、雪は慌てて押しとどめます。「駄目よ、まだ起きちゃ」
 そんなわけに行かないんだ!!
「………全員、無事か!?…ヤマトは、どうなった」

 聞かれると思っていたわ。あなたが一番知りたいのは、そのこと……(でも、答えるのが…辛い)
 彼の問いに、とても上手く答えられるとは思えなかった雪は。
 嗚咽を堪え、古代に背を向けました。

「……大勢、…死んだんだな…?」
 

 大勢の犠牲が出ただけではなく。
 ヤマトが幽霊船のようになっていた間に、地球はまたしても避けられない未曾有の危機に直面していたのです。やっと意識の戻った古代にそのことを伝えるのが、藤堂長官から託された雪の役目でした。
 彼の身体はボロボロです。古代の最後の記憶は、助けられなかった水没惑星の犠牲者たちと、直後に襲った未知の敵。艦長の彼はクルーたちを大勢喪い、ヤマトそのものをも傷つけ、…傷心のうちに目覚め——

(…こんな身体で、また次の任務に。それも、休む間もなく……)

 雪は、本部が大混乱に陥っていることも知っていました。真田さんや島、相原や南部や太田、無事だったクルーたち皆が、懸命にヤマトを修理し整備し、不眠不休で次の航海への準備に入っていることも……
(でも…… 私には言えない)

 あなたに、その身体と傷ついた心のままで、再び戦え、とは……。


 出撃できないヤマトに代わり、地球艦隊が避難船の護衛につく手筈になっていたようですが、宇宙では恐ろしい事件が起こりつつありました。
 正体不明の大艦隊の出現が観測され、冥王星基地が連絡を絶ったのです。第一次避難船団は、その時土星付近にまで到達していました。そこには大型のスペース・コロニーがあるのです。
 ですが、避難船団には武装した戦艦の護衛がついていません。
 危険を察知した本部の指令に、全地球艦隊が急ぎ土星へと向かいますが、そこで悲劇が起きました。

 丸腰の避難船団と移民用スペースコロニーが、正体不明の艦隊からの攻撃を受けて壊滅。護衛に向かった地球艦隊も、猛攻撃を受けます。敵艦隊から発進した中型水雷艇から発射された奇妙なミサイル……戦艦の二重装甲に刺さっただけと思われたミサイルは、その先端から未知の放射線を噴出し……
 波動砲攻撃を持って反撃した地球艦隊ですが、慣れない艦隊戦は奏功せず、すべてが例のミサイルの餌食になって宇宙の藻屑と消えました——
 火星基地、そして月基地からの連絡も途絶。


 思うように動かない身体に鞭打って、古代はその報せをどこかから得たのでしょうか。雪が?それとも、真田さんか島が……?

 彼の胸に去来するのは、後悔の念と怒濤の波間に消えて行ったクルーたちの姿。自分の命令に従い、それが未来と希望を拓くと信じてついて来てくれたはずの大勢の若者たち……

(俺は彼らを、犬死にさせた)

 どこで歯車が狂い始めたんだろう……
 ガミラスで、地表に降りたからか。
 あの洪水の星に降りたからか。
 あの敵は……そして、あのミサイルは。

 俺が不甲斐ないばかりに……。

 そして、古代は思い余って辞表のペンを取ります。
 雪はおそらく、それを黙って見ていたのでしょう…… そのことが、彼を余計苦しめると解っていても尚。たった一夜でもいい。平安に、心安らかにあなたが眠れるのなら、とそう思って。


<今回の古代くんは、非常に気の毒。>

 だってさー。
 
 「完結編」はさ、島が死んじゃうから…っていう理由で航海班には鬼門ですよ、そりゃ確かにそうです。でも、どうもそれ以上に、古代が全編通して気の毒なんですよ…、改めて見ると。

 最初の判断ミスからして古代らしくない上に、「自分じゃどうしようもないだろう損害に、ものすごくクヨクヨしてる」姿。
 確かに、ガルマン・ガミラスの崩壊に巻き込まれそうになって、「無差別ワープしろ」と命じたのは古代です。でも操縦したのは島。
「水没するディンギル星に降りろ、救助しろ」と命じたのは古代。でも、ここでも操縦したのは島だし、みんなだって嫌々従ったのではなく、出来ると思ってやっているんだよ。
 その後のでんでん虫の来襲とハイパー放射ミサイルについては、それこそ古代にどうにか出来る問題じゃないんです。

 それを、なんでそこまで気に病む必要がある?!

 負けて帰ることの方が勝って帰るより勇気がいるんだ、と、誰かに言われなかったっけ?古代くん?そんなこと、あんたはもう解っていると思ってたよ……。

 つことはつまり、これは古代のせいじゃないんですよ。

 百戦錬磨の戦士にだって、想定外、ってのはあります。というか、すべて原案・脚本の陰謀だろ。
 とにかく、この「完結編」。 
 何度古代の泣き顔のアップが出ますか?なんであんなに古代を泣かすの? 序盤からミスを悔やむ姿、辞表なんか出して後悔する姿。後半には少年の死、親友の死、そして父親たる沖田さんとヤマトの最後、……全編喪失のオンパレードじゃないですか…。
 いくら「最後」だからと言っても、頂けなかったですね。冗長になって来るし、泣きながらそれでも全力で戦っている古代が、可哀想で怒りさえ湧いて来る。(まあ、だからって、最後のラブシューを見逃してやろうという気にはならなかったが・苦笑)……。


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7)めっさ頑張ってた真田さんと島 につづく