感想文「完結編」(4)

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(4)ヤマトいちワルなオヤジ 


 〜〜〜〜〜こーのオヤジ。
 見るからにワルそうな面構えもさることながら、すごいことをヘーキで言い放ちます。でんでん虫長男は、母親と弟の死を悼んでちょっと悲しんでる様子ですが、このオヤジに物怖じしていて何も言えません。狂信的独裁者としては、デスラーやベムラーゼよりタチが悪いです。西部劇(爆)が好きなトコといい、妙にセンスも悪いしね(w)。

 余談ですが、やっぱりヤマトの敵としては(デスラーはもう味方なので、ちょっと置いといて)なんといっても「2」のガトランティスのズォーダー大帝のキャラが秀逸ですね。ハイセンスで余裕シャクシャク、セレブなイメージがありましたし、銀河レベルでのおっかない独裁者のはずなんだけれどもフタを開ければ案外任侠心の強い人で、だからこそ得体の知れない怖さが漂う傑物、という奥の深い描かれ方をしていました。
 デスラーだけでなく、ズォーダーから見ても、このルガール@オヤジは「なんか品性下劣なヤツ。独裁者の風上にも置けん」ってことになるでしょうな。

 このオヤジの「悪さ」をすぐに観客に植え付けないとならんからか、初っ端から彼の非道さばかりが描かれます。嫌悪感通り越して、あの描かれ方にはちょっと同情さえ覚えました。天変地異によって故郷の星を追われた、いわば悲劇の民のトップなのだから、あんなワルに描かなくてもいいんじゃ…?と思いましたよ。
「どうしたって次の移民先を確保しなきゃしょうがない、だから済まんが地球人類には滅びてもらう」というんで良かったのではありますまいか。まあそれだとデスラーの地球侵略の目的と被りますが、だからこそ最後にデスラーの手によって葬られる意味も出て来る。
 そもそも、戦争とは「違う種類の正義のぶつかり合い」なんですから、ことさらに「悪い宇宙人」にしなくても良かったような気がします…… 

 

 大神殿の礼拝堂(?大仏みたいのが胡座かいてます。神々の王、とオヤジが呼んでる像ですが…あれはナニ〜〜〜?耳が尖った大仏……ハッ、もしやあれはゼントラン……ヤメレ・殴☆★ ロボットホースもヤ〜〜〜な感じだけど…)が映ったりしてますが、どうやら指揮所のような場所にて…

オヤジ「諸君。アクエリアスによって我々は宇宙の放浪者の運命を科せられた。ウルクのエネルギーには限界があるが、幸いAQの水の中には我が機動艦隊のエネルギーを補充するに足る反波動粒子体があり、エネルギー吸収補かん口を建設することで解決する。
 最大の課題は、移住先を見つけることだ。(地球、太陽系を図示して)…あれはここから3000光年先にある太陽系だ。輝いているのは地球…… 私はあの地球へ移住することに決めた…!」

 おい。
 オヤジ、滔々と語っておりますが、部下の皆さんはかしこまってただ聞いてますがね、「決めた」ったって、困るのよ……

オヤジ「…だが地球にも戦う力はあるだろう。——幸いなことにAQは地球に向かっている。我々の持つ超エネルギーでAQをワープさせ、地球を水没させ人類を滅亡させる。我々は、水の引いたあとの地球へ移住するのだ」

 そのためには、人類を地球に封じ込めねばならない。

 敬服して聞き惚れている長男に、オヤジは言います…
「我が息子ルガール・ド・ザールよ。お前を太陽系制圧指揮官に任命する」わが息子の名に恥じぬ働きを見せよ。さすれば神々の王も汝を祝福し讃えるであろう…
「は!有り難き幸せ」
 みたいなやり取りのあと、長男ルガール・ザ・デンデンムシ(違うから)は艦隊を率いてウルクを出撃。



<つまんないですが、ウルクとワープシステムの説明をひとつ。>

 で、ここ説明が長いんですよね。
 どうやらウルクの動力システム担当者さんが、動力の源を延々と説明するの。
『都市衛星ウルクのワープシステムです。ウルクの岩盤が含む「曲線反重力波」を増幅し、放射装置で水惑星へ放射。AQを一気にワープさせます』

 なるほど。
 曲線反重力波。……なるほど、と言ってみたものの、何のことやら(w)
 …ウルク自体が、フォールドクォーツ、ってことなのね…(違います)

『……ただし、AQの質量は巨大なため1回にワープさせられる距離は約150光年が限度。そして、ワープ終了後次のワープの補充のため24時間が必要です』

 
 従って、150光年のワープを20回。
 地球到達までは20日間かかります——!


 珍しくナレーションみたいな説明だけで進めたシーンですよね。下手な小説の舞台設定解説みたいなシーン……
 ま、とりあえずね。説明しとかないとね。
 あとで「20回目のワープってなに?」って突っ込まれても困るしね。

 実はここは刮目して耳をかっぽじって聞いていなくちゃならないシーンなのですが、案外飽きたよね……(w)こういうのが、「見せ方の下手な映画の典型」なんですよ。今まではこんな下手な演出じゃなかったのにな〜〜〜ぶ〜〜。
 
 比較したらアレだけど、例えば「さらば」の白色彗星が有無を言わせず怖かったのは、動力炉のシーンをあまり見せずにおいて、最後に「ああ、この上あれ(動力炉)を壊さなきゃだめなんだ」というのを自然な流れの中で観客へアピール、それが恐ろしいまでのヤマトクルーたちの絶望感として伝わるように描いていたからです。
 物語の中で自然に設定を分からせる脚本/演出、でないとさあ。
(だから、詰め込み過ぎなんですよね…)

 まあとにかく、最後の『地球到達まであと20日、AQは20回ワープする』、ってことだけ覚えてればよし、と。



 で、ちょっとまとめると(いらねー)

● ウルクからAQへ放射(放射が好きだな・w)するワープ光線は、ウルクの岩盤に含まれる<曲線反重力波>を増幅して作ったものである
● ウルクの動力は、AQの水に含まれる<反波動粒子体>からとっている。(……これって、波動エネルギーと反対のもの??)

 

……でもさ。そもそもこんだけのエネルギー持ってるなら、その辺の惑星再開発した方がいいのでは……?アクエリアスと一緒に飛んでいれば、エネルギーにも事欠かないんでしょ?なのになぜここまでの労力費やして地球侵略??とフト思ったERIでございます…… 嗚呼独裁者の頭ん中は古今東西解らないもんですな……(苦笑)

 



<さらにツマンナイですが、真面目な話をひとつ。>

 ……しかし。
 「完結編」見てると、AQの水のことを「重水」といったり「トリチウム」と言ったり。

 「一体どっちなの?」と思いませんでしたか…?

 簡単に調べてみました。まあ、誰でもちょいと調べれば分かる範疇のことしかしてないですが…


「水素」「重水素」「三重水素(トリチウム)」と言う風に、なんかこいつらは、「水素」の同位体のひとつ、らしい(w)。「重水」と「重水素」は化学記号が違うんですが、…イマイチ違いをはっきりさせられない…スイマセン(w)

 しかし、ともあれ…

「重水」は酸化重水素の略で、水の形で自然界にも存在するものの、普通の水とは重さが違う安定同位体。放射線を出さず、原子炉の減速材(エネルギーの速度・威力を落とすためのショックアブソーバーみたいなもの)としても使われている…らしい。
「トリチウム」も自然界に存在する放射性同位体で、やはり水の形で存在しているようです。地球のあちこちにあるらしいのですが、過去の核実験(核融合)の際に排出されたものが多いらしい。現存する原発から廃棄物として排出されているものもあるそうです。……半減期は12年くらい。放射線を出していますがとても弱いものらしく、アルミ箔でも遮断できる、らしい。
 らしい、ずくめで申し訳ないですけども、この程度にしか分かんない、のが現実…(苦笑)。
 
  AQにあったキラキラ光る水。
 トリチウムは蛍光塗料としても使われるらしいので、あのキラキラは表現として間違いではないわけだね(妙なところに感心。でも、重水の中では生物は生きられない。きれいに見えたあの海の中に何もいなかったのはそのせいですね)。

 


で、動力やら爆発兵器としての能力があるのかどうか、と言う点ですが…



「重水」と「トリチウム」は「水爆(水素爆弾)」の材料として使われるらしい。その簡単な仕組みを見てみましょう。

 まず物質を構成する「原子」の中心には、プラス(正)の電荷をもつ陽子と、電荷をもたない中性子が結びついた「原子核」があります。
その原子核の核分裂エネルギーを利用したのが「原爆」(※1)。
  原子核の核融合エネルギーを利用したのが「水爆」(※2)です。
どっちの威力がデカイかというと「核融合」の方です。

(※2)水爆は重水や三重水素(トリチウム)の原子核同士を融合させ、ヘリウムの原子核ができるときに発生するエネルギーを利用します。太陽のエネルギーも核融合反応によるものです。……そう聞けば、威力のほどがお解りかと思います… ただ、核融合を起こすにはとても熱量の高い起爆装置が必要で、何を起爆剤にしていたかと言うと…原爆です。起爆剤が原爆ですよ? 水爆は、「熱核爆弾」とも呼ばれ、史上最大規模の破壊力を記録しました……
(1954年のビキニ環礁で行われ第五福竜丸が巻き込まれたのも水爆実験でした。あまりにでかい破壊力に、1963年には部分的核実験禁止条約(PTBT)によって、水爆を含め大気圏・宇宙空間・水中での核実験を禁止、1996年には地下核実験禁止を含む包括的核実験禁止条約(CTBT)が国連で採択されましたが、未批准国などがいまだにやってるんじゃないか…という懸念は残ります)

 なので、トリチウムを核融合させるための起爆装置、それがこのお話では「波動砲」だったんだな、と分かります。アクエリアスの水柱を断ち切ったのは、トリチウムと重水の波動エネルギーによる「核融合」だったわけですね!トリチウムおよび重水を満載した状態のヤマトが波動エンジンの爆発を起こしたら、それが起爆剤になるからみんなビビっていたわけですね!(なんかスッキリしている・w)ヤマト自体が超新星になっちゃうからね!



 ……あり?
 じゃ、なんでヤマトの船体残ったんだろう……

 核融合で爆発なら、

 あの水が行った先、全部核融合連鎖してもおかしくないような…

 (あ、だんだん怪しくなって来た……

 突っ込んじゃいけないトコに突っ込んでるような気がする……)  w…


 ちなみに。

(※1)原子爆弾(原爆)は原子核の核分裂エネルギーを利用する核兵器です。ウラン235やプルトニウム239の原子核に中性子をあてると、より小さな原子核に分裂し、そのさい複数の中性子とエネルギーを放出します。放出された中性子が他の原子核にあたると、同様の過程がくり返されます。このようにして核分裂反応を連鎖的に進行させ、短時間に巨大なエネルギーを放出させるのが原子爆弾です。
 現存する原子力発電所は、この「核分裂」を使用した炉心を使っています。核融合を使用した原子炉はまだ存在していません。危険だから。

 


  

 話がズレまくりましたが…

 うーん、これでさらに混乱しました。ウルクの動力源は、AQの水に含まれる<反波動粒子体>からとっている、って劇中で言ってるんだけど、ソレはナニ? 後半、いきなりそれがトリチウムになってるのは、なんで?
 ディンギル語で「トリチウム」のことを「反波動粒子体」と言うのか?
 
 ……誰か教えてくで……(降参。もうダメ)笑。ちょっとでもそれらしい科学考証を出そうとすると混乱するんだから、オール架空のエネルギーで話を作って頂きたかったです、ハイ(爆)。



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5)つまんない話から脱却!へつづく