毎度おなじみ、言い訳、と言う名の解説です(w)。
第一章「基点」…やっと地球から発進いたしました。テレサ、全然出てきませんね…すいません、次章で出てきますので何卒ご勘弁を。
**********************************************
<最初のテーマは、人類と放射能、だった>
このスピンアウトノベルは、20世紀末から21世紀初頭にかけて、今現在、本当に存在する高濃度放射性核廃棄物の処理問題をきっかけに話が展開します。
21世紀の人類が地中に眠らせていた核廃棄物を、西暦2199年までに本当にちゃんと処理する技術があったのであれば、ガミラスの遊星爆弾でどれだけ爆撃を受けても、人類の放射能汚染対策は万全だったはず。それが出来なかったからこそ、人類は放射能汚染に怯え地下へ潜り、わざわざイスカンダルまで除去装置をもらいに行かなきゃならなかったわけです。
しかし、実際は砂漠など過疎地中心に地球の地下に、人類自らが埋めた放射能の恐怖が眠っている……。現実は、二重の恐怖だったわけですね、2199年の地球は。
冗談じゃなくて、この核のゴミの処理に付いては、ホントにまだどうして良いのか分からない状態なんだって。最初は、それをヤマトが解決してくれるなら、なんてカッコいいんだろう…なんて漠然と考えた。愛の船が戦う究極の相手は、過去の人類が残した負の遺産。なんちて。
しかし、ヤマトは戦艦であって、危険物を運ぶ話にはなり得ない。
…じゃあどうするか。
さてそもそも、「宇宙戦艦ヤマト」の中で私のヒーローは島大介くん。ヤマトの航海長、そして「宇宙の運び屋」をやっていた彼。ヤマトという艦の一挙一動に島くんを見てしまう私には、この任務は彼にしかできない!って即決しました(w)。それまではヤマトのオリストなんて、恐れ多すぎてとても手が出せない代物でしたが、プロットが決まったら早かった。
島くんが主人公のオリストを書きたい。それはずっと頭にあって、小説でなくマンガとしてなら高校時代に書いていたんですが、描きたいシーンの不連続な寄せ集めで恥ずかしいったらありゃしません(爆)。しかしぶっちゃけると、オリキャラの半分はそのマンガから派生してたりするけど(w)。
地球内部に眠る、人類を脅かす高濃度放射性核廃棄物。それを、資源として活用するから譲渡して欲しいと言う要請が、デスラーから来る……ガミラシウムに匹敵する資源として、ガミラスがそれを欲しがっている。21世紀初頭から問題になっていた、核のゴミはかくして平和裏に処理される見通しがついた。ただし、地下からそれを運び出し、輸送するのは非常に危険な任務で、しかも新生ガミラス帝国は、未だかつてないほど遠距離にある。核廃棄物は輸送にも万全の配慮を要するため、専用の艦船を使い、遠距離操作を以て相手方に届ける計画が立てられる……それが、トライデント計画だった。
遠隔操作を必要とする艦船がなぜ必要か? 後述しますが、人間が核廃棄物と生活することは非常に危険。放射線が透過しない隔壁で、居住空間と貨物室を遮蔽する必要がある。そのために、隔壁に留まらずいざと言う時には切り離して分離することの出来る無人の艦が必要になる。となれば、「無人艦隊」を操作していたのは誰?ってことになります。そして、未だかつてない遠距離を輸送するため、主要メンバーはワープ技術に優れた人員でなければならない。しかも、単に輸送艦隊を指揮できればいい、ってもんでもない。高度な実戦経験が当然必要で、しかもガミラスへ行った時にデスラーと適切な折衝、ネゴシエイションがもてる人物でないと話にならない………
というわけで、他の追随を許さない必然性を持って、島くんが艦長としてこの輸送艦を指揮する話が出来上がりました。島大介でなければ、トライデント計画は遂行できない、そういう風に描きたかった。それほどに、彼は本当に優秀な男なんですから!
<マジで怖い。放射線>
人員の乗る本艦と、放射性物質を積むシグマ・ラムダを切り離し可能な別艦にした理由はそこです。大げさじゃないかって?それは、放射能の怖さを知らないから言えるんだぞ。
ガミラシウムも「放射性物質」。ほんとは怖いモンなんじゃないのか…とは思うんだけどね。既存のエンターテイメント作品は、本当に放射能の恐ろしさを知らない作り手が作っていることが多い。
インディ・ジョーンズ4(2008年公開)なんかも、びっくりしましたからね。まさかあれはないよね、ってくらい、認識が甘い。あり得ないほど放射線に対して無防備すぎるんですよ、シナリオが。
ホントのこと言うと、「完結編」に出て来たハイパー放射ミサイル、あれだってメチャクチャです。一度喰らってるヤマトの乗組員は、みんな後遺症がすごくて、あの後かなり短命だったんじゃないかと思う。本当なら続編なんか作れないですよ、みんな病気抱えちゃって(それを言ったら、「1」の時にすでにみんな放射線障害でハゲたりガンになったりしてるだろうさ…あんな無防備じゃ…)。
まあ、その辺後遺症の件は置いとくとしても、そういう経験も踏まえて輸送艦はきっちり放射線対策がしてある、という認識で話を作りました。もちろん宇宙放射線病に対してもね。そもそも、ヤマトの部署に「放射線対策班」がない、っていうのが当初から解せませんでしたもん。宇宙放射線病、っていう設定があるにも関わらず、あまりになんちゅーか不備。
で、遮蔽のために使う材質ですが、硬化テクタイト、という合金(?)がヤマトに出てきます。装甲板とかは確かコレみたいです。が、テクタイトっていうのもそもそも、要は「ガラス」らしい。透過性質を持つ放射線は、硬化テクタイトを通過してしまうんじゃないかって心配でしたんで、コスモナイト合金はそれらを遮断する、という設定にして、積み荷は全部コスモナイト製の容器に入ってる、っていうことになっています。地球上では手に入らない鉱石だし通常は戦艦の駆動部にしか使われない(タキオンエンジンの動力炉に使われてる?)ようですが、万全を期してそー言う設定にしてみました。そして、万一被弾したりした場合の放射能汚染を最小限に抑えるためにやっぱりどうしても、貨物部分を分離可能にしたかった。そのくらい、放射線は怖いのです。エンタテイメント作品だからこそ、敏感でいたい、と思います。
<放射性物質についての蘊蓄>
以下は資料です。透過性質のために内部被ばくする…という辺りの怖さが解ります。ウィキとかで「プルトニウム」「高レベル放射性核廃棄物」の項目を調べてみてね。
★核種のうち、放射能を有するもの。原子力発電にともない発生する放射性廃棄物に含まれる主な放射性核種は下記の通り。
α線: 原子核から放出されるヘリウム原子核(陽子2個、中性子2個からなる)。α線は、空気中を数cm程度しか飛ばないため、衣服の表面でα線が吸収され、外部からの放射線の被ばく(外部被ばく)による影響はほとんどない。しかし、α核種の場合、呼吸や食物により体内に放射性物質を摂取し、放射性物質が肺や骨などの組織に沈着などして人体の細胞や組織への影響を及ぼすこと(内部被ばく)による被ばくの寄与が大きい。このため、主にα線を放射するウランや超ウラン核種については、内部被ばくを避けることが重要。
β線:原子核から放出される高速の電子。物を透過する能力はα線とγ線の中間であり、人体は、外部被ばく、内部被ばくの両方の影響を受ける。β線を放出する核種の場合、放出するβ線のエネルギーが低い14Cや3Hなどは、外部被ばくよりも内部被ばくによる影響を避けることが重要となる。エネルギーの高いβ線を放出する90Srなどは内部被ばくに加え外部被ばくを避けることも必要となる。
γ線:原子核からα線やβ線が出たあとに残ったエネルギーが電磁波(光の仲間)の形で出てくるもの。物を透過する能力が高く、この放射線を止めるには鉛板や分厚いコンクリート壁を必要とする。外部被ばく、内部被ばくによる人体内への影響があるため、両者を避けることが重要である。
中性子線:原子核から放出される中性子の流れ。電荷を持たない中性子はものを透過しやすく、物質中で原子核をはじき飛ばしたり原子核と反応したりすることにより、人体の細胞や組織へ影響を及ぼす可能性がある。中性子線を止めるには、水素原子を多く含む水やプラスチックなどを用いる必要がある。
半減期について↓
※「半減期」=( 放射性核種の量が、壊変によって最初の量の半分になるまでの時間をいい、その期間は核種によってことなる)
ウランU-235 7億年
U-238 45億年
超ウラン元素 ネプツニウムNp-237 214万年
プルトニウムPu-239 24,000年
アメリシウムAm-241 432年 Am-243 7370年
キュリウム Cm-243 29年
Cm-244 18年
Cm-245 8500年
核分裂生成物 セレン Se-79 65,000年
ストロンチウム Sr-90 29年
ジルコニウム Zr-93 153万年
テクネチウム Tc-99 21万年
パラジウム Pd-107 650万年
スズ Sn-126 10万年
ヨウ素 I-129 1,570万年
セシウム Cs-135 230万年
Cs-137 30年
放射化生成物 炭素 C-14 5,730年
コバルト Co-60 5年
ニッケル Ni-63 100年
※ なので、イスカンダリウムは2万年くらい経っていて、もう放射線を出していない、って話が作中に出てきます(w)。
<ヤマトの歴史とか、生きてる人とか>
ヤマト3の設定も覚えてる範囲で使っているんですが非常にあやふや。なので生きてる人が大幅に増えてます。土門君や揚羽くんが最終話で亡くなってるなんてまったく覚えとらんかった…。だから、土門くんはこちらではヤマトの戦闘班長なんですよ。揚羽くんも艦載機隊の天才としてちょびっと出てきます(w)。戦闘班艦載機隊の隊長は加藤四郎、副隊長が坂本茂。京塚さんだの平田さんだのに至ってはその存在自体まったく記憶がなかった、という体たらくでしたが、京塚さんはちらっとだけ出てくれています。
「永遠に」と「新たなる」「完結編」についても歴史として触れているだけで、守さんもスターシアもサーシャも本編通りです。愛がない?あーうー(汗)。彼らは彼らだけで大河ドラマが作れちゃうので、私設定ではアンタッチャブル、で来ちゃいました。早い話が、ヤマト見てた時って島くんばっかり目で追ってたから(爆)こういうことになるのでしょう。
そして、ヤマトの航海長は晴れて太田健二郎くんでーす。でも彼は航海長になってもかたくなに「島さんの席」には座りません。だから、操縦するのは航海班副班長の北野くんなのです。
しかしこと、「完結編」についてはどうしても否定してしまう傾向にあります。すいません。原作との描写の微妙なズレ、食い違いはすべて、完結編(いや、単に島くん戦死否定か)否定心理に基づく「知らんぷり」に端を発するものと言うことで何卒ご勘弁ください。沖田艦長についても、誤診で実は永い眠りを経て復活した、ってことを臭わせる下りは出てきません。沖田さんについては、彼が「生き抜け」と教えたことを回想するシーン(それは土方さんだっけ?)、デスラーがちょっと思い出すシーンが出て来るだけです。まあ、ウルクで島が負傷するのは百歩譲って仕方ないとしましょう……でも、どうにか助かってます(これは別のオリストで)。で、彗星戦と同様、人事不省のまま帰還、という形です。
ディンギル戦の終盤、本編でヤマトが積んできたトリチウムは冬月が積み、冬月が無人管制にて太田・徳川の手でアクエリアスに突入し、水惑星は沈静化されます。ウチ設定の冬月は波動エンジンと波動砲搭載してるからね、爆発の条件は同じだからね。で、ヤマトも島も生還したという感じ。ディンギル戦を終始指揮したのは、ウチ設定では古代です。古代が艦長、真田・島が副長、でね…(うう、く、苦しい…でもそれでなんとかやるっきゃありませんって)
<オリキャラ>
ポセイドンクルーは、島くん以外全員オリキャラです。艦載機の腕もすごい航海班長・司花倫、高校生時代のマンガに出て来たレーダーの赤石美々は赤石マイア、っていうロシア美人に改変、グレイスは最初「セイラ」って名前でした(w)。第一艦橋メンバーも、テキサス生まれのダンディな副長カーネル、好青年の日系カナダ人護衛班長ミッドランド・神崎、チャラ男の通信班長・鳥出(とりいで)の他に、赤石の先輩にシニカルな片品、南部の後輩・砲術班のクールな新字(にいな)、そして島の火星基地の後輩、いつも笑顔の微笑三太郎こと大越(おおごし)、機関長の渋谷、整備班の徳永爺、護衛班のライバル・ボンボンの志村(志村隊の部下がなんと「銀魂」なんだ…笑。坂田、土方、松平ってのが出てきます。最近気がついて大爆笑。坂田は偶然。あとは新撰組から単純に選んだ。松平は殿様だけど)……などオリキャラ満載。
さらに、テレサの面倒を見ているガトランティス帝国大帝ズオーダーの妾腹、医師のアレス・ウォード。デスラー親衛隊のヴァンダールもカッコいい役回りです。
敵キャラも全員オリジナル。ベムラーゼには3人娘がいて、末娘アロイスが生まれながらの天才用兵家だった、という設定。
ベムラーゼは「首相」と名乗っていましたが、民主政治における首相が戦闘の陣頭指揮をとる?!っつーくらいだから、ボラーにおける「首相」は独裁国家の元首と同義だと考えられます。で、王制かもしんないけどベムラーゼ一族は正統後継ではなく、正統な王家の隠匿していた最終的な「箱船」を、流刑地脱出と復讐のために乗っ取った、という感じ。
アロイスに従って復讐劇を繰り広げるのは、彼女の世話役のレオン中将、戦略指揮官だったルトゥーに加え、正体不明の科学者ハガール、アンドロイド工学者エッター、アロイスの従弟バトラフ。(エッターとバトラフはまるで出て来ないです…。これがマンガやアニメなら、何カットか出て来るんかもしれないが)アロイスはこの小さな艦隊を率いて反撃のチャンスを窺っています。
キーマンとなるのは、司航海長のお兄さん、司和也。
古代守と同じ対ガミラス・冥王星会戦で艦船ごと消息不明になり、ボラー連邦の科学者ハガールに保護されていた、という設定。和也兄さんはとっても可哀想なんです。ごめん、なんかいじめまくっちまった…。でも生還するよ。
司兄妹は、このオリストの設定の要でもあって。兄妹そろって図抜けた才能と体力の持ち主です。この二人の体質がなかったら、お話始まんなかったかも(爆)。
<SFっぽい設定>
さて、作品にはけっこうたくさん、SFちっくなオリジナル設定が出てきます。
科学考証については、あくまでもウィキペディアをちょっとかじって調べてみた、っていうレベルでしかないです、かな〜〜り自由に作っちゃってます。もう、それっぽくカッコよきゃ何でもアリ!だと思っていいです(爆)。
<カリスト基地>
カリストは木星の第4番衛星。太陽系に存在する衛星の中ではガニメデ、タイタンに次いで3番目に大きく、太陽系の全天体の中でも水星に次いで12番目に大きい。カリストはエウロパやガニメデと同じく、表面全体を氷に覆われた衛星であるが、観測によると内部に液体水の層が存在する可能性もある。カリスト表面の主要な地形は、ギリシア神話や北欧神話、および北極圏に住む諸民族の神話から名付けられた。現在では、ヴァルハラ盆地のような多重リング構造を持つ大クレーターや、「カテナ」と呼ばれる一列に並んだクレーター群などもいくつか発見されている。(以上ウィキペディアより抜粋)
「ヤマト2」では、4つのガリレオ衛星…イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストすべてに衛星基地があって、各基地に地球艦隊が駐留していたらしい。それらを総合したのが、木星連合艦隊。ただし、この連合艦隊もガトランティス戦で全滅しました。(「2」19話〜)
それ以降、大きな基地はガニメデとカリストだけになり、用途も分けられた、という設定にしています。
第3番衛星ガニメデは、このオリストでは官民兼用輸送基地です。民間宇宙空港と、軍用宇宙港とがごっちゃになっていて、民間企業が参入して運輸事業を行っている(青森県三沢基地みたいに、米軍と民間航空機と、自衛隊がみんなで使ってる)。一方、専有軍用基地なのがカリスト(茨城県百里基地、みたいなのね。どっちかっていうと機密を扱ったりしてる。乗り入れているのは民間業者なら酒保、PX関係者だけ)で、10万tのアンドロメダ級、12万t級のアルテミスなど大型戦艦が駐留しています。
作中には描いてませんが、軍の大型戦艦の建造ドックもカリストにある。それは、コスモナイトの輸送距離を最小限にするためです。コスト削減のため、合理的な設定だと思いまして。
土星のタイタンやその周辺にあるコスモナイト採掘場(「1」参照)からカリストへ輸送、そこで大型戦艦の駆動部を作る、もしくは艦艇全体を建造し、完成させる。アルテミスやラグナロクなどの太陽系外周警備戦艦は全部この工程で造られています。地球へ降りる(地球大気圏着脱機能、とでもいうのか?)ことも可能な造りではありますが、主に駐留する場所が太陽系の外周ですから、それ専用に出来ているわけです。そも、いちいち材料を全部地球に運んで戦艦の建造をしていたら、マイレージコストもリスクコストも高過ぎるんじゃないでしょうか。ヤマトやポセイドンみたいに、地球を母港とせざるを得ない艦船は別ですが、基本的に太陽系外周警備の任に就く戦艦は地球に寄港する必要がない。だからこそ民間の航路を行き来する官民兼用基地ガニメデがある、と。ヤマトの原作本編では、全部の船がまるで地球を母港としているみたいに外宇宙から地球へ出て行き帰ってきますが、あれはあり得ないわ。太陽観光船(「3」)てのもありますが、あれはあくまでも地球から出る観光船なので、特殊なんだと思いたい。この時代は、外宇宙へ行く場合は民間人でも軍人でも、地球から火星、もしくは木星の官民兼用基地まで行き、そこから外宇宙航海へ出る、て感じでしょう。そもそも、ヤマトやアンドロメダが特殊なんです。古典的正統派SFの世界だと、これがフツーの設定だしな…。
<無人機動艦隊>
みんな忘れてるみたいだけど、島くんは、多分所長だったんですよ…「無人艦隊コントロールセンター」の。太助しか他に部下がいなかったっぽいのが笑えるが……いや、職員はたくさんいたに違いないんです。(別のオリスト「航海日誌」でこの辺ちょっと描いてみてます)
さて、「コントロールセンター」、実際、絵面では随分でかい施設でした。
「さらば」「2」では「輸送艦隊勤務」をしていた彼が、なぜ「永遠に」で無人艦隊管制センターに?
その経緯って、誰も書いてくんないのな。
で、ここを膨らませたら、めっさ島くんを格好良く描けると私は踏んだわけ。「3」で古代に先を越されて、坂巻にはバカにされちゃうし。島だけじゃなくて私も悔しかったんだよーー!!
だから、もー私がアナタをうんと出世させちゃる、と。そこで描いたのが「無人機動艦隊」の詳細です。
「永遠に」(2202年)で、無人艦隊が存在する理由はもちろん、「人材不足」だろう。資源はあるけど、人がいない。じゃ、島がここに指揮官として詰めていた理由は?
まあ辞令が下らなきゃどうにもなんないが、彼自身も自分で志願した……ような気がします。「2」で仲間やテレサを喪っている彼は、人間を部品として扱うしかない有人戦闘艦を否定したい気持ちがあったと思う。だから、ヤマトに乗れっていう辞令が下りない限りは、輸送艦隊勤務に終始した。
駆逐艦や巡洋艦だってたくさんあったのだし、島ほどの戦艦のパイロットに対してそれらに航海士として乗るよう辞令が下らなかったとは考えにくいんですが、多分、藤堂さんあたりが何か気を遣って根回しでもしてくれてたような気がします。守兄がその頃は参謀だったし。彼らはかなりの確率で島とテレサのことを伝え聞いていたのでしょうから…。
「2」で、彗星帝国侵攻に対抗して作られた地球艦隊は、あっというまに乗組員もろとも壊滅しました。そうでなくても、訓練中の事故でも簡単に人命は喪われる。だから、1隻を稼働させるのに100人近い人員を必要とする戦艦を、無人で同じだけ稼働させられればと考えたのは島だけじゃなかったでしょう。
でも、初代の無人艦隊はちょっと弱っちかった、それは多分にあれがリモコンの域を脱し切れていなかったから。所詮遠隔操作なので、コントロールセンターから飛ばす指令の回線速度では、敵襲の速度に追いつけなかった。当時(「永遠に」)はでも、あれが通信速度の限界だったのだと思われます。その場にいてコマンドを出すのと、何百万キロも離れた地球から通信で動かすのとはどっちが早いか、てのは明白です。
「あの艦隊に俺が乗り組んでいれば!」と島が言ったのは、そう言う意味でのことなのです。あそこであれほど悔しがった彼が、そう簡単に無人艦隊諦めるとは思えません。
ここはオリストでも書いたんですが、おそらく通信スピードは数年で飛躍的に上がったと思われます。ガトランティス、ガミラス、デザリアム、シャルバート、ディンギルなどの技術を盗まない真田さん…じゃなくて技術省じゃないですから。それを踏まえて、まずは使用艦船の基本スペックの改良を行った。船自体は既存のものを使うとしても(「ひゅうが」「こんごう」という旧日本海軍艦船の名前を拝借)単にリモコンで動く艦隊、てんじゃなくて、自律航法制御装置の開発が必須なので、AACSアルゴノーツ・オートノミック(autonomic=自律)・コントロール・システム、というのを考案しました。コイツはERIの作品の随所に出てきます(w)。なんせ島くん開発の名システムですから〜〜。
本編には脚注なしですが、「アルゴノーツ」っていうのは「オデッセイア」で言及される冒険航海記に登場する、アルゴー号のクルーの総称。50人の神の子がクルーで、大冒険をくり広げる神話です。それで、島のニュー無人艦隊(w)も、50隻なのです。
この「アルゴノーツ」、島自身が自分のフライトデータを何万パタ—ンもインプットして、動きの基盤を作っているので、その機動性能は折り紙付き。過去、例えばフルオートマティックで航行するアンドロメダが、自分が手動で航行させるヤマトに着いて来れなかったことは実証済み(「2」5話)。地球大気圏離脱突入はもちろん、「3」総集編で見せたロール機動(……艦載機じゃないのに…w)や、都市衛星ウルクに強行着陸した時のドリフトランディング、あんなのまで入れてあるようです(w)。臨機応変にそれを組み合せて自動対応するシステム。で、繊細な動きをさせるには、バーチャルバイザーってのをかけた航海士が、外から操ることも出来る。
なにしろ無人だからね、かなり無理な機動でも乗組員の安全のために躊躇する必要がない、その分タイムラグも少ないわけです。そういう実戦のフライトデータをですね、搭載していると。簡単に言うと、島が50人いて、同じ力量で一隻一隻を別個に操っているようなものです(…ある意味ものすごいことなんじゃなかろうか・これはw)。
当初は、放射性廃棄物を積んだ船を、無人の状態で目的地まで運ぶ…そのために考えたシステム、アルゴノーツ。(なのでポセイドンも、3隻が合体している必要はなかった…んですが、ワープを考えるとバラで移動させるのは大変だ、と。で、分離可能な一体型、になりました。これも必然と言えば必然かな。それに強いて付け加えるならば、ERIはマクロスが好きだ。だから出て来た発想、とも言える…ぶっちゃけたーーー!!)爆。
しかも戦闘時の動きについては、ヤマトのCIC(戦闘情報中枢)からデータを持って来ています。特に、戦闘中の速度調整、艦砲射撃の際のバランスの取り方、タイミングなど。航法に合わせて射撃シミュレータが作動する感じ。ヤマトの、つまり古代や南部とのリレーションのデータだからね。優秀なわけなんだわ。
南部曰く「あれに出来ないのは波動砲攻撃とワープだけ」。しかも、ステルス機能付き。
あ、ステルスと言ってもこの時代は「タキオン粒子に対するステルス」つまり、コスモレーダーに対するステルスなんですね。タキオンも全宇宙規模でスタンダードなわけじゃないだろうってことで、あくまでも太陽系内では有効かもしれん、と言う程度のステルスです。だから、ステルス機能なんて要らなかったかもしれない。逆にこの時代だからこそ、どんな宇宙船でも痕跡を残さないわけにはいかない「熱源反応」が盲点で、赤外線レーダーがやっぱり当てになる…という設定のシーンが結構出てきます。このオリストでは、レーダーというと「赤外線」「コスモ」「タイム」に加え「3」でガルマンウルフの次元潜航艇が使っていた次元レーダー、てのが存在するようです。
この新しい無人機動艦隊は、なんと太陽系規模の演習で、有人艦隊を凌ぐ好成績を打ち出し、地球の絶対防衛線の要と称されるまでになります。アルゴノーツを搭載した無人機動艦隊は増設されて、土星から順に6つの基地に展開される予定になっちゃってるのです。(テレサが一緒に帰還した後のオリスト「DISTANCE」に出て来る無人機動艦隊は、この「奇跡」の後の話なのでもっと規模が大きくなってます)
すっげー出世だよ、さっすが私の島くん!!(止まらん!!…w)なので、ポセイドン艦長就任の際には「大佐」に昇進。28.9で大佐。異例の出世? いいよね、だって彼は、あのヤマトの航海長だったんだもん!
<うちのオリストにおける「ワープ」について>
本編をずっと見て行くと。ガミラスとの戦いで、18やそこらの若造がヤマトの主要メンバーにならざるを得ない、イコールかなりの人材不足、はガチ。んで。ワープって、技術が普及するのそんなに早いかね?と思ったの。
ヤマトが「人類初の光速を越えた艦船」。
弱冠18の島が、人類初の、その船のパイロット。
ヤマトが帰還して1年で、地球は復興した……けど、ワープ航法を実施できる艦船は,他にあったのか? 資源不足の上人員養成をするヒマあったんだろうか?
しかも、島はインストラクターするでもなく、輸送業務やっていたわけだし。アンドロメダはフルオートパイロットだし。百歩譲って土星空域での白色彗星戦までは、島以外にワープを行えるパイロットが、あの艦隊の数はいた、と仮定するよ。…でも、全滅したっしょ…。その上、ディンギル戦で地球艦隊、またもや壊滅してるでしょ…。軍にいるベテランの絶対数が激減しちゃってる。苦し紛れに若手の養成をするしかないって感じでしょう。
そこで、私の設定では「ワープ」操作の出来る人間は、2209年当時はとても限られている!ということにしてみました。…もう、何が何でも島くんをヨイショしたい、って意図が見え見え(爆)だけど。いいんだい、放っとけ。
まあ第一、輸送艦から戦闘艦からみんなしてワープしていたら、現代の旅客機の空路なみに航路が過密状態になっちゃうじゃないですか。使いたい空域はみんな似たり寄ったりのはずなのだから。そんなの危険過ぎるし。
そこで、軍が独占してる航路(もしくは軍が許可した企業が独占する…例えばこれが、軍需産業の南部重工や運輸業の志村運輸)機密やコスモナイト輸送に関する航路に就くパイロットだけがワープを行う、という設定にしてみた。
輸送、についても、民間企業が輸送するものと軍が輸送するものとはルートも違う。だから、島の言うところの「宇宙の運び屋」(「さらば」「2」)とは、軍の独占航路である、と考えてます。であれば、輸送艦隊もワープするでしょう。でも、古代が護衛していたようなイモムシみたいに長〜〜い資源専用の輸送船がワープするわきゃない。そも、波動エンジンを積んでなきゃ、ワープはできない。「3」で、移住できる範囲が限られていたのも、波動エンジンを積んでいない輸送船(=航続距離が限られている)に人類を乗せて運ばなきゃならないからだったのよ。
<コスモファルコン>
次世代戦闘艦載機としての実戦配備は2208年くらいからなのかな。
コスモゼロ、のネーミングはどう見たって「零戦」から取られている。けどブラックタイガーは?コスモタイガーは…?虎が出て来たわけは私にゃ解らないです(w)。コスモゼロ、の名付け親は松本零士だと思うけど…
旧日本海軍で言えば、零式のライバル機、と言ったら「隼式」でしょう。なので、単純にファルコン、なのです。なんかしっくりいったので(w)ベタですがそのまま使いました。「紫電」「紫電改」てのが零戦の後に出てきますが、、「コスモなんちゃら」っていうのにくっつけにくいじゃん(w)。なので。
ゲームでは、ブラックタイガーが正式名称で99式(2199年製)、コスモタイガーが一式(2201年製)になってます。なので、2208年製のコスモファルコンは八式、ってことにしました。ちなみにコスモゼロは正式には、「零式宇宙艦上戦闘機52型」だそうです。
まあとにかく、色々とベタですよね!ネーミングがさ!(w)
ベタなネーミングと言えば、一番ベタなのが「ポセイドン」だと思うけどね!!(爆)どうしても「バビル2世」を思い出しちゃうんだよ、年代的に(爆)。
あと、司がえらい曲芸機動を行いますが、テイルスライドは旧ソ連のミグ29が本当にやってのけた機動だとか。木の葉落し、については色々無理がありそうだけど(w)。
以下は、某ファイターシミュレーションゲームの掲示板からの抜粋です。このへんを参考にしてみました。
<木の葉落し>
日本陸海軍に、そのような戦術の公式記述はありません。戦後の戦記マンガブームで××技、とかいう記述が横溢してはいますが。
垂直バンクに近い状態からの方向舵操作で縦滑りを発生させ、背後の敵機の射撃軸線から離脱するとともに急降下によって速度を稼ぎ、この際に木の葉がひらひらと靡くような様であるから「木の葉落とし」と呼ばれたそうです。その後は稼いだ速度を生かし、反転上昇して敵機を逆襲、あるいはそのまま離脱するわけです。これはフライトシミュレーターで、ある程度どこの国の戦闘機でも再現できます(まず離脱に用いるのですが)。零戦に限って言えば、プロペラの回転トルクを利用し左に旋回し降下する、というのは一般的に有効な戦術として、知れていました。また、戦争末期に紫電改に乗っていた武藤大尉は「新米は急上昇と急降下していれば死なない」という言葉を残しており、実際急降下は必勝ならぬ「必生」戦法として有効です。
もっとも、このような事は今になって文献から知れることなのであり、当時はそれこそ口伝てや、ウワサに近いレベルでしか日本では生かされませんでした。
逆に、昭和17年に不時着したほぼ完全な零戦を入手した米軍は、徹底的に分析をおこない、サッチ・ウェーブといわれる2機一組の戦術を考案し、それを具体的に映画にして、各部隊に徹底し、またゼロと一対一ではやるな、ゼロの左旋回についていくな、と教育しました。この教育の効果がガダルカナルの消耗戦あたりから生きてくるわけです。
<テイルスライド>
MiG-29の垂直上昇→尻から降下・・というのは、テイルスライドと言う技ですね。
木の葉落としは、姿勢を変えずにバンクさせた機体をストールさせてわざと落とす感じです。敵からは傾いた機体がそのままの姿勢で、下に落ちるように見えると思います。(もどきといったほうがいいですね。これは)
<バレルロール>
本来は、進行方向と出力を変えずに速度のみを落とす・・という機動です。
つまり、バレルロールを使うと 針路を変えずに急減速が可能で、それにより敵機のオーバーシュートを狙うことが出来ます。
<ワゴンホイール戦法>
味方機が敵に追われて旋回しているときに、自機もその旋回に入って敵を撃墜するという戦法です。
※ 但し、以下のようなご意見も。↓
「木の葉落とし」
=急角度で上昇しながら、失速前に90度ロールし、ヨーで機首を下げて急降下に移る機動だったと思います。木の葉落とし中は機体は失速してるようです。 そして、木の葉のようにひらひらと落ちることから、名がついた。現代機では恐らく「不可能」です。恐らく現代機がやったらスピンから立ち直れずに地面とキスです。(ちなみに第二次世界大戦時の零戦の格闘戦時の速度は150k/t程。これから予測すると失速速度は100k/t以下で、現代機と比べるとかなり遅いですよね。
大戦機は格闘戦時の速度が遅いため、翼に殆ど後退角がついていません。
翼幅も広いですし、機体も軽いです。よってスピンに陥っても速度が遅いうちに回復できる「かも知れない」と考えています。木の葉落としは「自殺機動」です。自分が撃墜されることを覚悟した最後の手段です。
戦闘機乗りにとっては普通じゃ無くても使うような機動ではないようです。
…、と、このような感じ。
まあ、現代機ではそもそも「木の葉落し」なんてのは「不可能」なんですね。だから、科学考証もクソもないわけ。未来の艦載機でできるかどうか、なんてのも語ってもムダ、なわけですよ結局(w)。
第一、ヤマト世界では艦載機コクピット内部に気圧コントロールが利いているのか、ジェットスーツも着てないですよね。その辺りを付け足して描いて行くと、ものすごくご都合主義な描写になっていくんだけど、なんだかそのまま野放しです(w)。筋肉を維持するために、つねにどこでも重力が利いているので、宇宙に上下が存在するのも本編原作と同じです。
なので、結果的に他のメンバーと司ちゃんの差を付けるためには、彼女がズバ抜けた体質の持ち主、って言う風にして行く必要がありました。大の男でもブラックアウトしちゃうようなGを受け続けても大丈夫な身体の持ち主(バケモノ・w)。そのための艦載機戦描写です。
***********************************
さあてと。
言い訳はこんな感じでしょうか…。また出て来たら随時加筆したりなんかして(w)。
次章ではやっとテレサちんが出てきます。しばらくは眠ってますが…。そんで、またもや長いです。各章、やっぱりどう詰め込んでも(25)くらいはあります…
第二章/恋情(1)へ 奇跡 Contents へ戻る