感想文(14)

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(14)



<クライマックスヘ…!>

 科学局では、カスケードブラックホールの接近が刻々と伝えられています。
「…土星が飲み込まれた…!」
 冥王星の次は、土星。次は?
 移民船への最後の人員の乗り込み、そして出発が完了しようとしています。

 佐渡を残して発進した救命艇ですが、悪天候の中を飛ぶうちに、まさかの落雷の餌食に…!

 墜落する救命艇………

 しかし、一体何であんなに大勢の技術者、しかも研究者と思しき人々が佐渡フィールドパークに残っていたんでしょうか…。そこがどうも分からんのですが、ともかく救命艇は最後に発進するヤマトに向かう予定だったようです。



 任務を終え、ほとんどの人員が退避した科学局内。
 シャットダウンされたコンピューター。地球全土の通信網が役目を終え、ここへモニタされる通信もなくなりました。砂嵐だけが虚しく映る大パネル……それを無言で見つめる、真田長官。
 一人、コマンダーブースに残る真田の元へ、次郎が最後の報告に戻って来ます。彼らの地球での任務も、これが最期——。

「長官、最後の移民船が出発しました。…長官は」
 スタッフも全員、送り出しました。後残っているのは、僕と…長官だけです。さあ、行きましょう。
 砂嵐を背に、真田はゆっくりと振り向き——次郎を優しく見つめます。


「……私はね、科学者として…最後まで、私たちの地球を見守りたいんだよ」


 その言葉を聞いた次郎は、思わずうなだれます……この人は、きっとそう言うのだろうと、次郎は薄々感じていたのかもしれません。真田さんの覚悟も、なぜそう決定したのかも、きっと次郎は納得していたでしょう。
 あなたが残って、一体どうするんですか。
 これからの人類の未来に「真田志郎」がいないなんて…。

 これも、オリストで補完してみましたが。
 真田さんだって、地球を見捨てて行きたくはなかったんです。「地球から人類を逃がす」ということは、イコール「地球を見捨てる」ということに他ならない。そのためにもちろん懸命に尽力して来たけれども、真田さん自身は今までヤマトで守って来たこの星を見捨てるつもりは、最初からまったくなかったに違いありません。
 真田さんが、もしも「この先も俺がいなければ駄目だ」と思っていたなら、彼は地球へは残らなかったでしょう。ここで、最後に次郎に対して「見届けたい、だから行かない」…と言えた、ということは。古代や、次郎が、それだけ充分に成長していたからなのです。

 
 これまで幾度となく地球を救って来た真田さんの「科学」は、今度はとうとう、地球を救えなかった。その、地球への贖罪の意味も含め、自分は残り…そして次郎や古代ら次世代を担う者たちにバトンを渡したのだ、とERIは思いました。

 真田さん、佐渡先生、そして古代くん、次郎。

 それぞれの「覚悟」。

 それらは表立って描かれていないように感じますが、実際は大変感慨深い展開になっていた、と思います。
 ………この後、例のムラサキ怪人が出て来ちゃうまではね………(遠い目)。




<おとーさん、救助へ向かう!>

 真田さんを残し、次郎は科学局から救命艇でヤマトへ。……豪雨の中、上空で待機しているヤマト。

「……真田さんが…!?」
 次郎の報告に、動揺の色を隠せない古代くん。しかし、時間は刻一刻と終末の時を迎えつつあり…。古代くんも、薄々分かっていたようです。それ以上、真田さんのことは追求しませんでした。
 太助も分かっていたようです。とにかく、もうぐずぐずしていられません。
「島、これで収容は終わりか!」
「いえ、それが…」
 次郎、これも当然気になっていたのでしょうが報告が前後しました。美雪ちゃんと佐渡先生を乗せて来るはずだった、フィールドパークからの救命艇が、まだ戻って来ていないんです。


 なんだって…?



 ヤマトの格納庫では、次郎の報告を聞いたコバと上条が、コスモゼロを出そうと用意している最中。
「おい、どうするんだよ」
「艦長のお嬢さんを探しに行く」
 ゼロに乗り込んでいる上条と、わたわたしているコバ。…とそこへ、古代が。
「離艦は許さんぞ!任務にもどれ!!」
 コバ、はあ?!と一気に血が上り。
「…艦長!!あんた、お嬢さんを助けに行かないつもりかよ!」こんのクソオヤジ、それでもアンタ、人の親か!それでも人間かよ!
 古代くんはコバの罵倒なんか聞いてません。問答無用だ、任務に戻れ、いいな!!と言い捨て、二人を残して立ち去ります。ところが、まもなく上部甲板から一機のゼロが発艦し……


「あれは、艦長なのか!」
 第一艦橋に戻って、それを見つけたコバ、そして上条…次郎もいます(これが次郎の出演最後のシーンでした)。

「アンタそれでも親か!」と古代をなじってしまったコバ、大袈裟に頭を抱えて嘆いてます。艦長が「離艦するな」と叱咤したのは、オレたちの安全のためであって、自ら危険を承知で出て行ったんだ。だああああ!!俺はなんていうことを!!(アンタ、いちいち反応がうるさいんだけど。)


 嵐の中、コスモゼロを駆って美雪の救助へ向かうおとーさん。
(どこだ美雪……!あと42分しか無いぞ…)

 五里霧中で捜索していた古代の視界に、山中に墜落し、黒煙を上げている機体が飛び込んで来ます。
 美雪!!

 着陸し、救命艇の残骸を必死にかき分けるおとーさん。なんてこった、でも奇跡的に美雪ちゃんだけはほとんど無傷で見つかります……
「お…お父さん…!!」




<ERIのハテナ?>
 ハテナが入ると思った?思ったでしょ(爆)。ええ、すいませんがツッコませてもらいます。
 おとーさん、美雪ちゃん以外の人は?どうなったの?…つか、美雪ちゃん以外助けるつもりがなかったよね?ゼロって座席2つしかないもんね?………コバ、ちょっと正しかったかも知んないよ?…艦長、案外人でなしだよ……(爆)??


 

「お父さん、来てくれたのね!!」
「美雪!」
 再会した父娘。美雪ちゃんはおとーさんにひしと抱きつき。おとーさんは、なぜか手に持っていた雪ママの制帽を見せます。それはアマールから持って帰って来たもので、この局面でも美雪に心を開いてもらうために必要なグッズだと、おとーさんは思ったのでしょう。念入りに、着て来たぞろっとした上着はヤマト艦長服ではなく。それはさっと脱いで、娘に着せかけてやりました。……どんだけ娘に遠慮しているんだ、古代クン……?(w)


「この帽子…!」
「お母さんは天国じゃない。お父さんはお母さんを諦めてなんかいない、きっと見つける。お前も一緒に行こう!」
「…うん」

 命を粗末にするな、とゼロの機中でおとーさんは美雪に言います……

 いや、お父さん。…あたし、そういうつもりじゃなかったんだけど。美雪ちゃんは何か言いたそうでしたが、敢えて口をつぐんだようにERIには見えました(苦笑)。
 古代くんが、もうホンット娘にメロメロで、なのにどう扱ったら嫌われないで済むかなあと四六時中考えているように見えちゃったのは、気のせいでしょうか……(爆)。


 その頃…英雄の丘では。

 雨に打たれながら、沖田さんの像を見上げる真田さん。最後にこの場所へ来たのは、とても真田さんらしかった。地球を最後まで共に見守るのが、このヤマトの英霊たちだと思ったからなのでしょう。
 振り向けば、曇天に発進して行くヤマトの勇姿が…。
 頬に笑みを浮かべ、その艦尾に向かっておもむろに敬礼し——。
(頼んだぞ、ヤマト。任せたぞ、…古代)
 もう一度、その台詞が聴こえたように思いませんでしたか……?



<トゥルーエンドへ>

 さて、ここが試写会で分岐フラグの立っていた地点でした。さっき、バッドエンドの方は説明したので、もういいよね(w)。



 佐渡先生の自室で、畳の上に丸くなるミーくん。佐渡先生とアナライザーは、窓に降り付ける風と雨を眺めつつ、懐かしい思い出話に耽ります……

「さあて、そろそろじゃのう」
 地球の、…終わり…か。
「古代、最初に出会った時、お前さんはまだ18じゃったかのう…」


 美雪ちゃんを、大事にな。
 
 佐渡の独り言に、ミーくんが「ゴロニャン」と応え。
「…ミーくんは、泰然自若じゃの。ちっぽけな動物でも、逃れようのない破滅の時には覚悟が決まるようじゃなぁ…」
 その傍らには、アナライザーも冷や酒のコップを片手にどっかりと控えており。

 泰然自若なのは、何も動物たちだけではなく…

 ある種の人々、宗教家とか、老夫婦とか…ここに残って最後まで地球と共に在ろうとする人たちも描かれていました。

 どっちがいいのか、なんてのは、自分で選ぶべきことで。それが自殺行為だとか、そんなことは他人がとやかく言うべきことじゃないと、ERIも思った。真田さんも佐渡先生も、誤った選択をしたわけではなく、当然その他の残った人たちも間違っているとは思わないし、脱出した人たちが正解だとも…思わないのです。後悔しないよう、自分の往く道は自分で考えて自分で決める、それでいいではないですか。一番悲惨なのは、「後悔しつつ死んで行くこと」です。どんな最後であれ、後悔しないと思えるのなら、それが正解なんですよ……(どわ〜深いぞ)。
いや、ここでね、ディンギルから17年でいくらなんでも氷河は無いよね…いやあれはアクエリアス産の水で出来たものかも、とか、クジラもムリだろ、とか、肉食獣と草食獣が何で一緒に居るんだよ、とか、あの僧侶と農夫は何を意味してるんだ、とか…色々言いたいことはあったんだけれどね。)←言ってるだろ



 さようなら…!!
 さようなら、地球さんーー!!

 脱出して行く移民船の窓には、地球を一目見ようと大勢の人が鈴なりになっています…
 ヤマトからの見送りと思える人々の中には、班カラーの制服を着た乗組員も沢山見られます……赤ちゃんがお母さんの膝の上から、まるで青いボールを抱えるように舷窓に映る青い地球を抱っこする様は、今になってようやく、かけがえのないものだったと気付いたこと…しかしその地球を、次世代には残せなかったという後悔の念…を暗示しているようにも見えました。

 天井パネルに投影される背後の地球に、第一艦橋のクルーたちも敬礼しています。古代クンの胸中には、どれだけの思いが去来していたことでしょうか……



 人類は今、一番大切なものを失おうとしている…
 その時になって、初めて気がついたんだ。
 これまで人間は、地球に対しどんな態度を取っていただろう…
 奪い、荒らし、壊し…造り替え。
 ——万物の霊長などと、思い上がって来た。
 なのに我々は、宇宙にとっては取るに足りない災害からこの地球を救うことも出来ない。無力なものだ…
 
 俺たちは負けたんだ。
 …新しい移住先は、やり直しのチャンスを与えられたに過ぎないのだ……

 


 
(ここでそのまま終るのがバッドエンドだったんだよ)

 ところが。


 
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(15)

イヤ〜〜ン、出た>へ続く