感想文(1)

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<序章>

 川島さんの無敵のスキャットが流れる中。
 『無限に広がる大宇宙……』
 このナレーションから始まるのは、ヤマトのお約束。我々の太陽系は天の川銀河の中心から約3万光年の距離にある。で、今回のラスボス、件のブラックホール(BHと表記)はその天の川銀河の中心にある、らしい。
 このBHが今回のラスボスというアイデアを出したのは、映画の最初にバーンと名前が登場する原案の「石原慎太郎」氏らしいのですが、その辺の経緯は良く知りません。前にアニメージュのインタビューかなんかで西崎Pがこの話をしていたように思いますが、ま、そんなんどーでもいーや(爆)。
 さて、そのBH。そいつが地球に興味を持ったのは、あたかもサバンナを旅する旅行者に野獣が唐突に関心を向けたかのごとく……らしいんですが。
 このナレーションのバックは、なぜか虫プロのジャングル大帝みたいな、ホントアフリカのライオンやら草食動物やらの映像なんですが、ナレーションをよく聞いて初めて(w)あの背景の理由が分かった。試写会のときは、「なんでここでジャングル大帝やねん??」って不思議でした。ブラックホールの脅威を、ライオンの獅子吼に例えてる、わけですな。

 で、今回のラスボスについて、この部分のナレーションでいきなりの暴露(w)。
『このBHの正体は、時空の支配者…ある種の生命体』であ(った)、とぶっちゃけてるのよ! 試写会まで、「多分そうだろうなイヤ絶対そうだ」と思ってただけに、お約束というか期待を裏切らないと言うか、オチが読めちゃって残念と言うか……(笑)。要は、お約束のエイリアン攻撃、なんですよね。
 白色彗星とどっちが強いだろう。敵のラスボスが軍事国家じゃない所が今回の特徴だな。しかしそれにしたって、テレサがいたらあんなに苦労しないで済んだよな、とか、もうこの時点で思考がソッチへ(ヤメレ)。



<第一次移民船団>
 
 場面は変わって、漆黒の宇宙空間に無数の機影。なになに?『BLUE NOHA Earth Federation FlagShip 2220』——地球連邦旗艦2220、ブルーノア。横っ腹にでかでかとそう書かれた青い船体。10万人乗りの移民船数千隻を率いて、地球防衛軍の護衛艦百数隻が航行中。護衛艦の種類は、「主力戦艦」って設定では艦種しか出て来ないザコ戦艦(おい)、&スーパーアンドロメダ級戦艦、ともに防衛軍の量産型の汎用戦艦。
 3億人を移送する(後で上条のセリフに出て来る)第一次船団なので、10万人乗りが3000隻くらい?(計算合ってる?・w)護衛艦が100隻くらいかな、かなりいます。後出の古代の台詞にもありますが、第三次船団は護衛艦が162隻。だから、第一次でもそのくらいはあったのではないでしょうか。

 さて、そのうちの一隻には「古代雪」が乗り組んでいました…しかも艦長として。雪が乗っていたのはスーパーアンドロメダの一隻で、このシーンではどこに位置していたのか判然としません(これは4回目に気をつけて見ててもわからんかった)。
 そこへ突然のエマージェンシー…
「12時方向に重力震!距離、約25宇宙キロ!!」
 正体不明の艦影、約900!うわあ、思わず「バジュラ、フォールドアウト!」って思ってしまってごめんなさい(マクロスのことは忘れろ)。もとい、ワープアウトしてきたんですね、沢山の未知の艦隊が。いきなり爆撃を受けて、慌てて応戦する護衛艦隊。あっというまにブルーノアも左舷に被弾。両舷に展開する艦載機射出ウイングからコスモパルサー多数発艦、しかし敢えなくほとんどが撃墜され…。

 この最初の戦闘シーンでも思いましたが、パパパッとまずスクリーンに英語が出て、それを追いかけるようになんと「日本語、それも漢字」の警報が出る。エヴァか!?マクロスか!?っていう印象を誰もが持ったのではないでしょうか…。艦載機の動きなどはかなり頑張っていたと思うので、なにも他の戦闘アニメやらに迎合しないでもよかったんじゃないだろうか、とちょっと思いました(苦笑)。
 そして、なんか見る間に攻撃を受けて壊滅していく第一次船団。護衛艦は護衛している余裕もなく、おそらく数隻だけが戦域からワープしてどうにか退避します。

<ERIのハテナ?>…戦域からワープアウトして退避。この決定、誰がしたんだろう??ブルーノアの艦長?でもブルーノアは序盤にこっぴどく被弾して早くもまる焦げ。上条も戦闘班長として善戦してるんだけど、敵の攻撃が素早くてまるで敵わない。けど、10万人乗りの学校の校舎みたいな移民船はそもそも非武装。護衛艦がとっとと逃げちゃったらどうなっちゃうのよ? この第一次船団には生き残りがいて、なんとかアマールへ到着している人たちが出て来るんですが、護衛艦もいくらかは逃げ延びたらしいんです。生き残りの士官が『戦況が激しくて、ワープでその場から逃げるのが精一杯だった』と言っているシーンが後から出て来ます。旗艦のブルーノアが早々に沈黙しちゃったから、三々五々散り散りにワープで逃げるしかなかったと、そういうことなんだろうか。(後からゴルイも言ってますが…まるで護衛艦隊役に立ってなかったよね)


 雪のスーパーアンドロメダも、雪自身が「ワープ!」と命じて亜空間航行に入る……んですが、その瞬間に攻撃を受けてしまいます…焔に煽られるブリッヂ、指揮席にいた雪は、副長の眼前でまっぱだかに!(……語弊があるな。ええと、サービスカットじゃなくて…爆風に煽られて、衣服が燃え飛んでしまった…っていう感じ。うわーあれ絶対全身火傷だよ、と背筋がぞっとしたのは私だけでしょうか…)

 バランスを崩しながら、ワープに入るスーパーアンドロメダ……
 この時雪が被っていた制帽は、後にこの船内で発見されて古代の手に渡りますが、この時を境に古代雪は行方不明となってしまいます……



<宇宙開拓辺境 地球より1万6800光年>

 深宇宙貨物船「ゆき」。主に宇宙開拓辺境を往来するその
貨物船の船長が——古代進。
 初出の古代は、なんとヒゲモジャラ!(ヒゲモジャラとか言うな・w)3年間みっちり伸ばしたんでしょうか。伸ばしかけのヒゲの情けなさをとても良く知っているので、その過程を想像すると笑えます…
 もとい。第一次船団が敵襲を受けていた頃、古代は寂れた日常を送っていました。すぐ後に分かりますが、先の第一次船団が襲われたのが地球から1万7000光年の辺り。実は距離的には古代と雪はかなり近くに(つっても200光年だけど)居たんですね、本当は。(でも、自分の職場に妻の名をつけるってどうよ…。愛妻家を公言してるも同然だよ?いいのか古代?すました顔してたけど、あれはフツーかなり恥ずかしいぞ!…いや、たまたま「ゆき」って名前の貨物船なのかもしれませんが?はたまた、妻や愛人の名前を機体に付けるのは当時の流行だとか?)汗。
 それはさておき。
 そもそも、地球からどっちへ17000なのか、でまるで位置としては違うはずなんですが…(笑)なぜか地球から何光年、と書かれると「同じ方向」って思っちゃう我々はホント、ヤマトに洗脳されて育った世代ですな(爆)。イントロ部分でも描かれてましたが、なぜかヤマト世界の太陽系、は常に直列してるんですよね。水金地火木土天冥海(西暦2220年にはこの並び?それとも海冥?)、って惑星が直列してる…しかも地球が右で、左に向かって遠離る、という舞台設定。それを踏まえてお話が進むと思ってください(爆)。


 さて、設定では古代がいたのは「宇宙開拓辺境」と言われているド田舎の海。郵便船が地球から荷物を運んで来るのですが、「例によって3ヶ月遅れ(郵便船の人の台詞)」なのだそうです。郵便船こそワープしろよ、最新鋭の機体で!と思うのは私だけでしょうか…(w)。ただ、「ゆき」は、郵便物が集められている中継ステーションのようなところへ荷物を受け取りに行っているような描写でしたね。

 


 地球からの小包を受け取る古代。入っているのは雪からの手紙と、家族3人で撮った写真の入った、小さな写真立て……。狭い船長室で、小包を拡げ、束の間の休息を取る古代くん。小さなテーブルにはワインのボトルとグラスが一つ。晩酌は毎度手酌酒だったんでしょうかね。大村さん(副長)と毎晩ワインで酒盛り、という感じはしません(w)。

「あなた、海はどうですか?宇宙は海。貨物船がオレの船。それがあなたの口癖。あなたが無事にお帰りになる日を、美雪と二人で待っています」
 雪ちゃん、男並に短い手紙。……でもこれは、3ヶ月前に出した物。もしかしたら、雪が艦長として護衛艦に乗り込む決意をした頃だったのかもしれない。言葉が多ければきっと余計なことを書いてしまい、進に心配をかけてしまう……だから当たり障りのない内容しか、「書けなかった」…。この辺りの雪の心境を思うと、とても切ない。思わず応援したくなります。

 映画のこの時点では分かりませんが、雪が第一次船団の護衛艦艦長として出撃したことを古代は知りません(雪はそのことを知らせていない、とオフィシャルの資料にも書かれてました)。復活篇の公開前には、「家族を捨ててふらついている古代なんて許せない」だとか、「雪は古代に無断で護衛艦に乗り組んだから二人は不仲だったのでは」などと色々憶測が飛び交ってたようですが、ぜんっぜんそんなコトないんです。いやあ、この二人ほど時空を超えた愛で結ばれているフーフは、きっと他にいないでしょう…(島とテレサもあの二人には負けます。本編では…w)

<ERIのハテナ?>
 雪ってさ、看護師兼レーダーオペレーター、で電算も出来るでしょう…それはいいとして、なんで艦長??17年の間に、なんか資格を取って実践積んだんだと思うしかないんですが(w)…。

 まあ、それはさておき。雪のこの行動にはERI、いたく感動させられました。
 ずっとヤマトだけに乗り組んできた彼女は、ヤマトではない戦艦の「脆さ」をきっと知っていた。それに由来する一種の恐怖、も感じたろうと思うんです。まして、艦長としてそれに乗り組むとしたら、そのプレッシャーはきっと尋常ではない。当初、アマールへの旅は敵襲を予想しての航海ではなかっただろうと思いますが、それでも何時何が起こるかは分からないわけよ。愛する夫になぜ、あの時点であの写真を送ろうと思ったのか。進にとっては「なんか和む」だけの写真立てと手紙でも、雪にとっては自らの覚悟を込めた贈り物だったのかも知れません…(でも、だからといってこれを、母は強し、だとかそんな言葉で片付けたくないな。そうじゃなくて、なんかもっと古代っぽい理屈が雪の中にも芽生えたんだ、きっと)
 あと、雪の手紙…雪がらみのシーンではなぜか、「別離」が流れるんですが、この曲聴くとサーシャがちらつくんですが。この辺ってサーシャファンだとどうなのよ?とちょっと思った(苦笑)。



 さて、貨物船「ゆき」には副長として大村耕作さん(45)、ナビゲーターとして桜井洋一くん(21)が乗り組んでいます。
 大村さんは、後で彼自身の台詞にも出て来ますが「古代艦長と3年間過ごした」ということなので、この貨物船に古代が乗ったとき(もしくはもっと前?)からの付き合いらしい。3年と言えば、ヤマトに乗っていた仲間たちにも匹敵する長さです。まあ、島に較べたら短いかも…ですが、ヤマトの航海の場合は一回が密で、旅と旅の間は開いてたりしますよね。それに較べると、ずっとべったり同じ船にいたのなら。大村さんの存在は、古代にとっても本当に大きなものだったに違いない。復活したヤマトの副長に真田さんを、と古代が言わなかった理由もすんなり分かります(元、真田さんは副長だもん。なのになぜか、藤堂長官の役どころをゲットしてるよね…)。古代と大村さんの3年物語も、描こうと思えばいくらでも書けそうな感じ。あのボロ船、操舵は古代もやっていたようだから、艦長直々に島の真似してぶん回してね、(w)それを大村さんが「お願いだから止めて壊れるから」って引き止めたりして…(笑)そうやって古代は操縦の腕を上げて行ったと。

 で、桜井なんですが。
 最初、なんで商船学校出があの貨物船に?と思ったんです。でも「宇宙戦艦ヤマト『復活篇』公開記念 ヤマトメカニック・メモリアル」見てたらすんなり解消(w)。貨物船「ゆき」は「商船」なんです。けど、21歳の宇宙商船大学出(スキップしてるのか?よく考えれば、桜井は卒業前に「ゆき」に乗っている…)つまり飛び級で卒業したらしい成績優秀者が、
あの辺境のオンボロ貨物船に就職って……なにそのイキナリな左遷人事?
 そこではたと気がついたのが、桜井は真田さんの持ち駒だったんじゃないかということです。後で古代も言っているけど、桜井は唯一過去に「訓練航海で」アマールへ行ったことのあるクルーでした。すべてが水面下で真田さんと「こんなこともあろうかと仲間」(w)の次郎によって仕組まれた成り行きだった、と分かります。(うふふ。だから桜井はヤマトの操縦もできるんですよ…)

 
 桜井と、宇宙科学局の真田、そして移民船団本部長島次郎の関わりは、ERI、勝手にオリストに入れちゃってみましたが、多分原作シナリオにおいても周到に練られていた設定だっただろう、というのが伺えます(ま、そうでないとしてもそこはご愛嬌・w)。

 

 

 

2)<4時の方向、距離150宇宙キロに難破船発見!>につづく