ローマからの手紙

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「ローマからの手紙」

 CBSソニーレコード (1984年)
  CBSソニー六本木スタジオにて収録
 協力/KLMオランダ航空
 朗読/仲村秀生


 

 これは小洒落たイタリア観光旅行…という舞台設定のLPレコードで、CBSソニーの制作です。協力はKLMオランダ航空。1984年の作品です。観光ビデオなんかと趣向は似ていますネ。映画音楽とのコラボレーションでもあり、LPの付録カラーページには現地の写真がたんまり掲載されていて、合わせて見ると旅行に行ったような気分になれますという作品でございます。
 瀟洒なBGMに加え、現地で録音した町の雑踏や鐘の音、広場に群がる鳩の羽音、啼声。ゴンドラの軋みや水音が豊かに再現されて行く中、仲村秀生さんが時折案内役として語りを入れます。当時このLP販売価格は4000円だったとか…。水の都ヴェネツィアとローマを、旅のホストとして、秀生さんが一緒に回ってくれるという趣向です。

 さて、LPのA面ではまだ、秀生さんは「現地のコーディネーターさん」といった距離にいます……

「サンマルコ広場へ来てみました」
「ここはヴェネツィア・ガラスの工場です」
「ロベルタ(ショップ)を覗いてみましょう」
…そして、「ゴンドラに乗って、生活の香りが漂う小さな運河を回ってみましょう…」

 秀生さんが旅の案内役。ゴンドラが狭い水路を進みながら立てる水音までが、無闇と艶やかに聴こえたことは、言うまでもありません(笑)。
 続いて鉄道で乗り入れたのはローマ、テルミニ駅。「終着駅」の映画音楽がお供です。バチカンの朝の礼拝を垣間見て、サンピエトロ広場へ……


 
 そして、B面です。サンタマリア・マジョーレ、セント・ジョバンニ聖堂の鐘の音が響き渡ります…町の雑踏、観光馬車の車輪と馬の蹄の音。グッチの本店にお邪魔して…アー、残念ながら、イタリア語はまるで分かりません(笑)。
 ローマ市街、トレビの泉。噴水の途切れることのない水音。
……と、突然、それまでちょっと距離を置いて話していたはずのホストの秀生さんが、急にふっと近くに居る事に気付かされます。観光馬車が目の前を通り過ぎた時、秀生さんが言うんですね…
「二人して、散歩と洒落てみましょうか」。

 ……えっ、いつの間に?!

 目を丸くしていると、秀生さんにとっとと次のスポットへと連れて行かれます。まるで、ローマの休日を楽しむアン王女、みたいな気分です……なぜか、ここのBGMは「ロミオとジュリエット」なのですが……(笑)。 
 途端に内心はとても優雅に旅を楽しんでなんかいられなくなります。秀生さんがすぐそばで、肩を並べて歩いていてくれた事に気付いて、慌ててもう一度A面から聞き直す始末。たった一度だけ、「二人して」という言葉が入っていただけで、あれほど嬉しくなってしまうなんて。我ながらつくづくあのお声の虜なんだなと、苦笑せざるを得ません。
 
 このLPは、「ローマとヴェネツィアを旅する二人」からの手紙、だったのですね。(あーもう、この際恥ずかしいとか言っていたら勿体ないです。思いっきり秀生ワールドに浸ってしまいましょう!!)

 そして私は再び最初からLPを聴き直すのでありました……(笑)。

 

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短いLPですが、こんなLPも出されていたとは驚きです。

(他にもLPはあるそうですが,今回はここまで……)w。

 

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