プラネッツ・エンカウンター2209『あとがき』

毎度おなじみ、「あとがき」と言う名の「言い訳」ざんす。

*******************************************************



さて…
 いかがでしたでしょーか、ERI初の「男っぽいSF作品」。文章だけで船を動かすのがこれほど難しいとは思わんかったです、正直。

 何が大変だったって、アータ。ヤマトのオフィシャル設定上でも皆目理解できない「宇宙ノット」「宇宙座標」コレの料理の仕方がですよ。そもそも地球から他の星までって、どんくらいの早さで行けるんだろう???もはやその辺は、アニメで見た「体感速度」で表現するっきゃ無いわけです。なので、そういう方面にお詳しい読者の方から見るときっとハチャメチャなんじゃ…という気が、かなりいたします……。

 戦闘巡洋艦、という種類の艦船だって本編にはないし、巡洋艦と駆逐艦との描き分けも曖昧。本来なら艦船のデザインやスペックから設定して行くのが筋ですが、そこまでの能力も時間も知識もない。結局は数の闘い、で描くしかなく、ステルス艦隊のトリックも、その数字に頼った単純なものになっちまいました。
 ここで、普段得意とする挿絵を入れればまだイメージしやすかったのかもしれませんが、戦艦の挿絵?そんな無茶な(w)。既存の戦艦のデザインでもいいのかもしれないが、該当しそうなものはないし…人物の絵でも、背景にはメカや指揮所の様子を描かないとならない。…そんなの、描けねーよ!

 てなわけで、まるまる文章に頼るしかなく。……いや〜ほんと、空想で艦隊戦を描くのは難しかったでっす!!!ま、最初にお断りしているようにこれは「サイエンス・フィクション」ではなく「スペース・ファンタジーモドキ」なもんですから、何卒ご容赦くだしゃいませ…。



 けど、ご容赦くだしゃいませ…なんて言った割に、
今回の主人公は島ではなく実は「無人機動艦隊」なんですよね…。で、その「艦隊」を描こうとしたらば、沢山の人の言動を借りて多方向から語ってもらうしかなくなった。

 某マクロスを彷彿とさせる(w)女子校戦艦アルテミス、ギルモア博士と9人の00ナンバー戦士、みたいな無人機動艦隊CDC(w)。島と古代の将来を投影したかのような、恩師「風渡野大佐」と彼の戦友「進藤宗吾准将」。アルムおんじヒゲが沖田とお揃いの、ロシア人艦長「ボストリコフ」。「奇跡」に登場する女性航海士「司花倫」(ホンットこの子は「島」に興味がない…w)。
 島をカッコ良く描くぞ、という思いは常にあるのですが(そして、多分その目論みはほぼ成功しているんじゃないか…とは思うんですが)なぜかその他のエキスが多分に滲み出てしまいました(w)。

 初登場のオリキャラだけで20人近いので、描き分けはもちろん不十分…。かろうじてアルテミスの女性士官は「戦闘班長」「航海長」などの肩書きがついてるので、どうにか区別がついたかもしれませんが、もっと詳細に描くべきであるはずの、9人居る島の部下は、徳川太助以外はきっとひとからげでありましょう…(w)。ホントは、最年少の槙田竜士(19)を島が弟のようにかまってやるシーンなどがあったんですが、艦隊戦のテンポが途切れてしまうためにやむなくカットしました。

 ただ、女子校戦艦アルテミスを登場させたのに
は理由があります。単に某超時空要塞アニメをパクって遊びたかったわけではなく(いや、ミーハーな島ファンの航海長、というのも描きたかったんですが・w)ヤマトの、例の「おバカな男のロマン」をぶっ潰したかった…からなんですネ。
 もちろん原作に対するオマージュ、は当然ありますよ?でも、「生きて愛することそのものが闘いだ」ってテーマを謳いながら、それにしては「死に過ぎ」ですよね。コレも、ヤマトのファンだからこその反発です。
 勇猛に戦って玉砕するのも男でしょうが、その男を命懸けで生み出したのはすべて女。命がなんたるかを男だけで語ってもらっちゃ困る、早々簡単に死なれたら、女の立つ瀬がないんだよ!というのがERIの頭んなかには常にある。だからこそ出て来てもらった集団、それが女ばかりのアルテミスだった。その集団を束ねる風渡野は、偶然にも島の恩師…紆余曲折を経て、島も「生きること」の本質を掴んだ男。
無人の艦を駆って有人艦の盾になり「護りの剣」に徹底する、「生きろ」と言うメッセージを発信する…それが島大介の『無人機動艦隊』。……そこへ、話を帰結させたかったんです。

 

 

 さて、このお話を描いていた頃、原稿を見てくださったある島ファンの方からこんな話を聞きました。ERIのこのお話を読むずっと以前に、「島が無人艦隊を再編成して戦う話」をオリジナルストーリーとして描こうとされた方(男性だったそうです)がおられた…と。
 なんという偶然の符合でしょう。そのオリストは残念ながらどこにも発表されることはなく、作者の方も、すでにどなただかわからないとのこと。もしも、「それはオレだ!」と気がついた方がいらしたら、ぜひご連絡頂きたいと思っています。原作の島をずっと追って見ていれば(それが島ファンの視点であれば尚)おそらく思いつくであろう、この無人艦隊再編成の話ですが…その方が、なぜ「島に無人艦隊を再び駆らせたいと思ったのか」ERIはぜひとも知りたいです。


 そして、最後にスペシャル・サンクスを。
 ERIは数字に滅法弱いため、書いていて戦況が良く解らなくなることがあり。そこで、信頼できる某航海班員様に作戦参謀をお願いしました。案の定、最初に出来上がった原稿は見落としだらけで恥ずかしいことこの上なかった(w)。島のセリフまで間違えてたんですよ、私ったら。島隊長には土下座してもし足りない、っつー出来だったんです、最初は(ひいいい)。しかしその作戦参謀様が色々進言してくださったおかげで、話全体がきっちりカッコ良く仕上がりました。本当にありがとうございました!



 さて、「島をカッコ良く描きたい!」というヨクボーは尽きることはありません。ま…ヨクボーだけで力及ばず、で終わるのが関の山でしょーが
(爆)…もしかしたらまた、なんか思いつくやも知れません。が、ここらで一旦、終了です。


 ともあれ、読んでくださってありがとうございました!

                           2009.11.07   ERI

****************************************

 

 

 

無人機動艦隊<中編シリーズ> へ戻る   Original Story Contentsへ   Menuへ