毎度おなじみ、あとがきと言う名の「言い訳」です。
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この後の二人は、どうなったんでしょうか。
分かれたのか?付き合うのか? 実はこの二人の行く末は、この後のテレサ生還編「奇跡」の記述にちょっとだけ登場します。
「…彼女は、去年結婚した」
2209年の初夏、ポセイドン艦長及び艦隊司令として史上初の特殊輸送プロジェクトの任に就く島が、大越と古代にそう言っているシーンがあります……お互いに、心の中に生きた亡霊を抱え、それ以上魂の接近を許せなくなった島と皆川。でも、皆川は新しい恋に飛び込んでったんですね。島は、彼女の結婚の報を聞いてきっと嬉しかったに違いありません。
こういう恋愛の形って、分かりにくい?
少なくとも、二人は翌2208年の半ば頃までは、お客と喫茶店の店主という関係にはありました。最初は何の遠慮もない、身体だけの関係、そして次第に相手を大事にしようと思い始め。でも、そう思った途端に互いに持っている枷が見えて来た…。互いに失った永遠の恋を相手に重ねて見ていた、そのことに対する驚き、焦燥感、そして罪悪感。ふたりは静かに距離を取るようになり…、そして、恋人としては、別れました。
皆川さんは島のことを好きだったんでしょうか。
多分、とても好きだったのだと思います。島も、おそらく。彼女を好きだったでしょう。
<航海班の皆様、モウシワケアリマセン!!>
うがあああああ。
ここまで読んでくださった奇特な方でも、航海班である場合、許容し難い内容だったんじゃないでしょうか…。
例えば古代くんのオリストで、彼が雪ちゃん以外の女性を抱くなんて、そんなのってタブーじゃないですか。それと同様、航海班の人間が…島くんとオリキャラの恋愛話を描くなんて、タブーもタブー…。
ただ、島くんの場合は、この時点では実質フリー。しかも彼は元々モテる方なので、プラトニックはよくあるだろうし、迫られて半ば仕方なく、と言うのもありましょう…しかし、年上の手練手管なセクシーお姉さんを欲求のままに襲っちゃう、みたいな展開は…モゴモゴ…誰も恐ろしくて描けなかったんではないかと…。
ですが、この展開も、島への愛情から来てるものだということを、何卒ご理解頂けたら嬉しいのですが。
どこが愛情だよ…!!って?
ええと、おこがましいとは思いながら。
島くん自身の感情を考えてみますと。
テレサのことは愛してます。でも、彼女は「もういない」。もちろん、島は例えば彗星戦の後やディンギル戦の後など、身体を壊して女に興味も失せていた時期があるでしょう。でも、年齢を考えるとずっとそうだったとも思えません。そして、常に女性から好意を示されていた、というのは充分考えられる。もういない彼女のことを忘れたい、と恋愛に手を出す、と言うのは自然です。…が、おそらくあまりうまくいかなかったのも事実でしょう。
そこへ持って来て、難しいこと考えずに関係だけ持たせてくれる相手がポンと現れる。もちろん、それだけを望んでいたわけじゃないと思いますよ?島は元来そういうタイプの男ではないです。…それでも、心理的にずいぶん解放されたんじゃないか、と思います…。
我知らずテレサを他の女性に重ねてしまっていたことに気付いて欲しい、それが巡り巡って自分の恋愛を壊していることに気付いて欲しい。それから、「お兄ちゃん」の彼が、甘えられる年上の相手を実は欲しがっていたんじゃないか、というのもありました。「よしよし」をするのはいつも彼で、彼がそうしてもらえる場面なんかずっとなかったからね。
そう言う意味で、皆川の存在は島にとってちょっと特別でした。
それから、珈琲ね。
料理上手な女、なんてステレオタイプは嫌いですが、案外島はそういうのに弱いのかも。特に皆川の場合は珈琲はプロですからね。
ピンからキリまで、テレサとは正反対の女、が彼女です。巨乳だし(爆)。
で、彼女も忘れられない相手を抱えている。だから、島とは最終的に別れる…というか、彼女にとっては島は、高嶺の花すぎて現実味に欠けていた、というのが本当のところかもしれない。実は私にも、皆川さんが何を考えていたのかすべて分かっていた訳ではありません……
島は皆川さんとの恋を後悔したと思いますか?
…その視点で、このお話を容赦してくだされば、と思います…。
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