Original Story 「優しい朝」(1)

 珍しく、テレサちんの一人称でお送りします♪


これは果たして、地上勤務の島?無人機動艦隊の極東基地副司令に就任した後の話でしょうか? たまたま、彼の帰宅が深夜になっちゃっただけなのかも、です(w)。
 サブタイトルは「のだめテレサ」(爆)。どこが「のだめ」なのかは読めばすぐ判ります…

 



*****************************************

 

 



 私がベッドに入ったのは、多分……夜中の2時頃だったかしら。
 帰宅は深夜。待っていなくていいからね…寝ているんだよ。
 そうあなたは言っていたから、待っていたわけじゃなかったのだけれど……。私のベッドと彼のベッドとは、同じ部屋にあっても別々で、それが寂しいから、……私は彼のベッドに潜り込んだの。

 休みのときはいつも、枕カバーとシーツを取り替えておいて、と彼は言うのだけれど。でも私はそうしなかった……だって。
 あなたの匂いが、どこにもないのが……寂しいんだもの…。私たち、いつも…20日以上、会えないままなのよ…?
 洗っていないあなたのパジャマを引き出しから引っ張り出して。袖を通してみる…
 ああ、……かすかな、あなたの匂い。
 自分で、自分の両肩をそっと抱きしめる。
 …あなたに後ろから抱きしめられているみたい……

 そんなことを思いながら、私は多分、すっかり眠ってしまったみたいだった。



「……きゃ」
「…なんだ、こっちにいたの」
 薄く開いたカーテンの隙間から見える空はまだ暗かったから、それは…夜明け前だったのだと思う。突然、倒れ込むように彼がベッドに入って来たから、私はびっくりして声を上げたわ。
「……お帰りなさい?」
「…ん……おやすみ…」
 島さん。
 ——珍しい。よっぽど疲れているのね?…あなたが、シャワーも使わずにそのままベッドに寝てしまうなんて。
 彼はどうにかパジャマにだけは着替えていたけれど、薄闇に目を凝らすと、脱いだままの上着やスラックスが床に落ちてるのが見える。ううん…椅子の背にかけたのに、滑り落ちてしまった、という感じだわ。彼の身体から、外の空気の匂いや誰かのタバコの匂いに混じって、ほのかに汗の匂いがする……
 彼は、もうすっかり眠り込んでる。…私がこっちのベッドにいるわけを、何か訊いてくれるかと思ったけれど。私の身体に片腕を回したまま彼はすうすう寝息を立て始めちゃった。

 …だから、私も仕方なく。
「……おやすみなさい」と。溜め息を吐きながら…。
 だから、別に私は…待っていたわけじゃないんだけれど。
 ——やっぱりなんだか、寂しい——

 意識のない、重い腕の中で、くるりと彼に背を向けた。「おやすみ」と言って彼は寝てしまったけれど、本当は……、少しでいいから、こうやって後ろから抱きしめてもらいたかった……。
 愛し合う時、彼はいつも私のうなじや髪にキスをして、「いい匂いだ」って言うの……そんな時私はもちろん、ちゃんとシャワーを浴びているし髪も洗ってる…
 あなたが「いい匂い」というのは、シャンプーの匂いや石鹸の香りのことではないの……? あなたはいつも、私に触る時自分が清潔(きれい)かどうか気にかけているけれど、私はあなたの汗の匂いも、洗っていない髪の匂いも、とても好きなのよ……。

 ……彼に背を向けて、私もそのまま眠ってしまったのね。



 その朝見た夢は、なんだかとっても…恥ずかしい夢で。
 私は何度か、夢の中でいやいやをするように首を振っていたみたい。
 突然、耳元で……彼が言ったの……


「いや?」


 ——え?
 カーテンの隙間からは、柔らかい朝の光が差し込んでいて…私と彼は、まだ同じベッドの中で一緒に寝ていて。
 ……彼の手が、
 ……さっきはまるで意識がなくてただ重たいだけだった彼の手が、
 後ろから私の胸をまさぐっていて……。

 夢じゃ、なかったのね……。彼が何をしているのかはっきり分かった途端、私の胸はものすごくドキドキしてきたけど、とっても恥ずかしかったからそのまま、寝ているふりをしたの……
 私が返事をしないから、彼は黙ったまま、固くなった先端を指先で転がしたり掌で愛撫したりし続けて。
 ……どうしよう…、ああ、どうかしてしまいそう……
 脚の間に、何か熱いものがじゅん、って生まれて来て…私は思わず声を出したみたい。
「あぁ…ん」

 名前を呼んで。
 …テレサ、…って。

 言葉に出してはいないのに、彼はそれに答えるように私の名前を小声で呼んでくれた。どうしても出てしまいそうになる変な吐息を堪えていたら、彼の手が腰の方へ滑って行って。…ああ、駄目、島さんどこを触っているの……
「……テレサ……テレサ」
 
「……しまさ…ん」本当は、「おはよう」って言うつもりだったのよ。
 彼は急に、私を後から抱き上げるようにしてからベッドにうつぶせに抱き伏したの……背中から、両手で乳房をかきしだかれて、また声が漏れてしまう…その時やっと、いつの間にかパジャマのボタンが全部外れているのに気付いたわ……
「島さん……あぁ」
 お尻に、彼の固いものが当たってる……彼のパジャマのズボンは長過ぎて邪魔だったから、私が着ているのは上だけ。
 胸が、ドキドキする。きっと島さんに聞こえてるわ……
 (このまま、するの?)
 別に、そんなつもりであなたのパジャマの上着だけを着ていたんじゃないわ。でも、言い訳をすることも、そんな恥ずかしいことを訊くことも絶対できなかったから、代わりに私は熱く火照った頬を、……私の耳元で少しだけ荒い息になっている彼の唇に押し付けた…。
「テレサ…」
 また彼が、私の名前を呼んだ。
 たった一枚履いている下着を、その手が引き下ろすのがわかって、私はちょっと泣きそうになる。……嬉しくて。
 いつもみたいに、彼は「いい?」とか「いやじゃない?」とか、訊かなかった。膝まで下着をおろしただけで、後ろ向きのまま、私の中に彼が入って来る……
 私の脚の間はもう、太股の辺りまで温かいもので濡れてしまっていて、ちっとも痛くなかったのに、彼は掠れ声で謝ったの…「ごめん」って。
「……いいの……島さん……いいの…」
「島さん、じゃなくて…」彼は苦笑いして、息を吐きながらそう言った……あなたはこういう時、「大介って呼んで」って言うけれど、なんだか、すごくそれ……恥ずかしいの。……でも、あなたがそう呼んで欲しいのなら………
「大介……」
 呼んでしまうと、背筋がちょっとだけ…ぞくっとした。彼の動きに合わせて、肩が、腰が震えてしまう……
 大介。……大介…ああ、大好きよ……!
 彼は動きながら、私のパジャマ…(彼のだけれど)をはぎ取って、私の首筋や、肩や…背中にキスしてくれる。何度も、駄目…と言いそうになって、快感を我慢してる自分に気がつくの…
 ベッドサイドに引かれたカーテンが、揺れる掛け布団のせいで少しずつ開いてしまって、私は…ちょっとの間、眩しさに目をつぶってたみたい。


 うつぶせでいると、やっぱりちょっと苦しかったし、彼の身体の重みで、出したくないのに変な声が出てしまって、私はものすごく恥ずかしかった。
 枕を抱きしめて、爪を立てる。ああ、私、きっとすごくみっともない顔をしているわ…。そう思って目を開いた途端、彼の目が。動きながら私の顔をじっと見つめていて…。
「……あ……いや…」
 ずっと見ていたの……?
 彼ったら、なんだかすごく嬉しそう……
 彼の身体を受け入れている私の奥深いところで何かがまた……じんと音を立てた…
 優しい顔で微笑んでくれて、彼は私の身体を上手に持ち上げて…仰向けにしてくれた。気がついたら、私は何も着ていなくて…下着ときたら右の足首にからまっていて。掛け布団は、ベッドから落ちてしまったけれど、拾うことなんかもう考えなかった……
 彼の両腕が私を強く抱きしめてくれた。でも、激しく動かれながら深くキスされると、彼の口の中で大きな喘ぎ声を出しそうになる…。鼻で息をするしかないから、「んんゥ」って、すごくいやらしい声になってしまって……それが恥ずかしくて、首を振って彼のキスから逃げようとするけれど、彼は絶対それを許してくれないの……。
 ——また涙がこぼれそうになる。身体全体が痺れたみたい、お願いもう……動かないで…。
 きっと、私……何度も何度も、あなたの名前を呼んでたわ……
腰から背筋、首筋……彼の舐めてくれた所を全部辿って、電気が走ったみたいな感じがして、私は思わずのけぞった……
「あっ」
 私ではなくて、彼が、呻いた。



 島さん。
 ……また、寝ちゃうの……?

 彼が、私の身体の中に入ったまま、幸せそうな顔をして目を閉じてしまったので……私はちょっとびっくりした。いつもならシャワー、…じゃなかったの…? 私の髪や頬をなでながらかけてくれる優しい言葉も今朝は……なかったけれど…。
 彼は私の上に身体を半分預けたまま、また眠ってしまったから、私が彼の髪や、背中をそっとなでてあげたわ…。
「……大介…。愛してるわ…」
 聞こえていたのか、彼は目を閉じたまま…微笑んだ。
 ——んもう。ずるいわ……島さん。
 
 小鳥がさえずりながら窓の外を飛んで行く。
 ……その鳴き声を聞きながら、…私も、もうほんのちょっとだけ、眠ろう……と思った。
 もう少ししたら、あなたの大好きなコーヒーをいれるために、起きるわね………。

 

 

                                                Fin

*********************************************

 

 

 ええと。

 短いです。まーたこんなことばっかりしています…お二人さん。つか、いーじゃん、やっとフーフになれたんだからさー。ERI脳内だけであろうとも…好きなだけらぶらぶしていいのよーーー!!

 

「のだめ」。説明要りませんよね??

 ご存じない方に(→「のだめカンタービレ」:大好きな真一くんのシャツをコッソリ取っておいて、匂いを嗅ぐ変態女子大生のマンガ)…ちょとチガウか(爆)。

 ええ、島んちはのだめの実家みたいだし(Rさん談)。そしてまたもや、島は勤務明けでお疲れモードです。ああ、なんでERIは島をこんなに働かせてしまうのでしょーか……(w)。ガンバレ島!!(爆)

※ タイトルについて…今まで、本編関連のオリストは日本語で、妄想SSはなんか横文字で、って統一して来たつもりだったけど、この「優しい朝」はなんか日本語で書いちゃいました。まあ誰もそんなこた気にしちゃいないさ……。

 

 

 

 Original Stories その他の短編Indexへ        Menu